「得意なことがない」人は、マルチ・ポテンシャライトかも。複数の得意を組み合わせる

Fri, Sep 18, 2020

ライター:平田提

自己啓発 自己分析 書くための音声ガイド
「得意なことがない」人は、マルチ・ポテンシャライトかも。複数の得意を組み合わせる

「得意なことがない」と悩んでいるなら、あなたの得意なことは1つではないのかもしれません。「マルチ・ポテンシャライト」=「複数の“ちょっと得意”を組み合わせるのが得意」な人である可能性があります。その組み合わせは、あなたの知識・経験もろもろから成り立つ、固有のもの。

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マルチ・ポテンシャライトとは?

マルチ・ポテンシャライトとは?

マルチ・ポテンシャライトとは、『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』(エミリー・ワプニック/PHP出版)という本で提唱された考え方。

この本では

マルチポテンシャライト=さまざまなことに興味を持ち、多くのことをクリエイティブに探究する人

と定義されています。 作者のエミリー・ワプニックさんはミュージシャンを志したあとWebデザイナーになり、映画制作に関わったあと、法律家になっています。多様な遍歴に疑問も持つ人もいたそうですが、エミリーさんはこう語っています。

“法律を学んだことで説得力のある文章が書けるようになったのだが、そのスキルはブログを書いたり、申請書を埋めたり、いろいろな企画書を書くたびに役立っている。音楽業界にどっぷりはまってバンドで演奏していた日々があるから、チームでうまく働くコツがわかるし、そのコツは毎日のビジネスにも活きている。バンド活動のおかげで、かけがえのないパフォーマンス体験ができたのだけど、それがのちに人前でスピーチをするときに役立った。ウェブデザインをかじったおかげで、プロジェクトのたびに自分でウェブサイトを立ち上げられるし、デザイナーを雇ったときも、スムーズにやり取りできる。それに、短編映画の制作ほど、イベント企画の複雑さや、毛色の違う(気難しい)人たちと働く力学を、わかりやすく教えてくれるものはない”(『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』(エミリー・ワプニック/PHP出版)34頁)”

エミリーさんの多様な遍歴はいまの仕事に確実に活きています。マルチ・ポテンシャライトはスペシャリストではありません。1つの「得意」では語り尽くせないけど「ちょっと得意」の組み合わせが武器になる人たち。

いわばマルチ・ポテンシャライトは「『得意』の編集者」。さまざまな得意を組み合わせて、そのときどきに合わせて切り抜ける。

社会人の得意なことは他者との関係性で語られる

ジョブホッパーと呼ばれる人(短期間で転職を繰り返す人)も、いろんな環境に対応してきた適応性があるともいえるんじゃないでしょうか。たとえ短い期間でも得た経験は、エミリーさんのように何がしか現在に活きているはず。 その変遷は恐らくあなたしか経験していない。とするとどう変わったかや、変遷した理由のエピソードが大事。興味がころころ変わってもいいので、その興味が変わった理由といま何に活きているかを自覚するとよいのではないでしょうか。

社会人にとっての「得意なこと」とは、他者との関係性の中で発揮されるものかもしれません。関係性の話だからこそ、エピソードが必要とされます。

転職の面談では転職の理由も聞かれるでしょうが、頻出の質問は「あなたの長所(得意なこと)は?」そして「その長所が発揮された具体的なエピソードを教えてください」じゃないでしょうか。

マルチ・ポテンシャライトなら「自分の今までの多様な経験の組み合わせが活かされたエピソード」を語るのも一つかもしれません。その「組み合わせ方=あなたの得意」です。

得意なことは他人と比較しても仕方がない

ちなみに得意なことのエピソードは、他人と比較せずとも出てくるはず。比較を始めるときりがありません。こういう疑問が湧いてきます。

  • あなたの得意なことは、他人との「差分」なのだろうか?
  • 比較対象は誰にする? 選定基準は?
  • 比較対象が変われば結果も変わるのでは?(上には上がいるし)

比較対象、選定基準を設定した時点でバイアスがかかります。

何か成功をしたとして、それはあなたが他の人より秀でていたからなのでしょうか。 そうではなく、あなた固有のスキルの組み合わせがあったから、そしてその環境だったからではないでしょうか。あなたの保有している知識・経験・スキルの組み合わせがその環境で最高にうまくいったということ。

他人との比較ではなく「その結果は自分の『どんな』資質が導いたのか」を考えると、自分の得意なことを見つけるヒントになります。

得意なことを見つける4つのヒント

では得意なことを見つけるにはどうすればいいのでしょう。ここでは4つのヒントを紹介します。

1.「スマイル・ファイル」で他者から褒められたことを記録

「スマイル・ファイル」で他者から褒められたことを記録

自分の得意を他者に語り、自覚するためにもエピソードが大事だという話をしました。つまりエピソードの収集をふだんからしておくのがいいんですね。

『リュッケ 人生を豊かにする「6つの宝物」』(著:マイク・ヴァイキング、訳: アーヴィン 香苗 /三笠書房)ではルビー・レセプショニストという会社の取り組み「スマイル・ファイル」が紹介されています。この会社はアメリカの『フォーチュン』誌で「もっとも働きがいのある会社」1位になったそう。ルビー・レセプショニストでは入社すると「スマイル・ファイル」というバインダーを渡されます。そこに上司・同僚・取引先などからもらった褒め言葉をすべて書き留めておく。褒め言葉は傷ついた言葉より記憶に残らないから、らしいです。

スマイル・ファイルは手書きのメモでもいいですが、EvenoteやDayOneなどのジャーナリングアプリでタグをつけて記録しておくと後でソートして見返せるので便利です。自分で得意と思っていても、他者はそう思わない可能性もあります。逆に他者に自分の得意を気付かされることもある。スマイル・ファイルで褒められたエピソードをためていくと、自分の得意の傾向が見えてきます。

2.得意なことは他者にギブしたことにあると知る

得意なこと=人の役に立てることとも言いかえられます。役に立つ=ギブしたこと。「スマイル・ファイル」に出てくるエピソードは、例えば「整理整頓が得意」「口笛が得意」とかすぐには仕事に活かせないことかもしれません(考えようによってはKONMARI的立ち位置やヒューマンビートボックスYouTuberのキャリアに活かせるかも)。

「社会人の得意なことは他者との関係性で語られる」と書きましたが、仕事の上で感謝されたことはヒント。そして自分は何によってお金を得ているのかを考えることも。感謝や報酬は自分のギブに対するリアクションです。

誰から何をしてお金をもらっているのか。エンドユーザーは誰か。自分のどこが評価されているのか。「その結果の『どんな』資質が導いたのか」の、「どんな」の形容詞が大事。「どんな」にマルチ・ポテンシャライトとしてのあなたの変遷と、得意の組み合わせが活かされているはず。

3.得意なこと=無理せずできること×感謝されること

得意なことは、無理せずできることと、誰かに感謝されることの円が重なる部分にあります。 以下のようなことをノートに書いてみてはいかがでしょうか。

  1. まずスマイル・ファイルやギブした経験を思い出して「誰かに感謝されること」の円に思いつくまま書く
  2. 自分がそれほど力んで、無理をせずにできたことをもう一つの円に書く。コピーをとることでも、調べ物を何時間もすることでも、お茶を淹れることでもいい。それをバーッと書いていく。
  3. 2つの円の重なる部分にあることが得意なこと。あとは仕事につなげる抽象化をする。例えば「調べ物を何時間もする」ことが無理せずできることで「パソコンの使い方を誰かに教えた」ことで誰かに感謝されたなら「教える」「取材」「リサーチ」が得意かもしれないせん。

得意なことを書いて整理するための音声ガイドをご用意しました。こちらをよろしければ聴きながら取り組んでみてください。

4.自分の「beの肩書き」を考える

自分の「beの肩書き」を考える

「得意」はあなたのキャラクター性ともいえます。キャラクター性は「在り方」に現れます。兼松佳宏さんの『beの肩書き』(グリーンズ出版)は「Webディレクター」「マーケッター」「経理」などのような「doの肩書き」ではなく、「be(在り方)の肩書き」に注目します。「beの肩書き」はその人の働き方であり、人生の変遷が表れたその人特有の哲学でもあります。この本では今までの人生を振り返るワークショップの手引きと、何人ものbeの肩書きを見ることができます。

例えばブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクターなどを務める「本屋B&B」などの内沼晋太郎さんの「beの肩書き」は「ジョーカー」。

“要は“切り札”ということです。「何かひとつ足りない」というときに、ジョーカーって何でもなれますよね。同じように「これって誰に頼めばいいんだろう?」というときに、「内沼くん出しておけば大丈夫」って思い出してもらえるような存在でありたいんです。それに、カードを配られたときにジョーカーが入ってたら、何だか嬉しいじゃないですか(笑)(兼松佳宏『beの肩書き』グリーンズ出版/31頁)”

内沼さんは「ジョーカーなブック・コーディネーター/クリエイティブ・ディレクター」なわけですね。「どんな○○(職業、doの肩書き)」の「どんな」の部分がbeの肩書きとも言える。「beの肩書き」は経験によって変化することもあるし、複数持つこともあり得る。マルチ・ポテンシャライトにとって重要なのは、汎用的な肩書きではなくbeの肩書きのような姿勢、在り方ではないでしょうか。そこに今までの経験と、得意が表れてくる。

「beの肩書き」(greenzjp)

とにかく挑戦することで、自分の得意なことのヒントを得る

自分の得意なことがない人はいないはず。それは、得意なことがその人のキャラクター性を表すものだから。人生の変遷で得た気づきや経験がどうキャラクター性に表れ、そしてそれがどう人の役に立ったか。スマイル・ファイルやbeの肩書きなどのワークショップはヒントになるはずです。いずれにしても、自分の得意なことは自分よりも他者が知っているようです。褒め言葉などのリアクションは、自分の行動なくしては得られません。マルチ・ポテンシャライトは、まずは自分の直感で気になることに挑戦してみたり、現時点での考えをブログや対話で表現してみたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

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