最古の人類はアウストラロピテクスじゃない?ラミダス猿人、サヘラントロプス説も

Fri, Sep 25, 2020

ライター:平田提

日本史学び直し 歴史
最古の人類はアウストラロピテクスじゃない?ラミダス猿人、サヘラントロプス説も

二足歩行を特徴とする人類の祖先が誕生したのは、いまから500万年以上前のアフリカと考えられています。人類の進化は「猿人→原人→旧人→新人」の段階で示されます。私たちホモ=サピエンス(ヒト、現生人類)は「新人」にあたり、4~1万年前に現れました。 発掘・研究が進められているため諸説ありますが、最古の人類は「アウストラロピテクス」「ラミダス猿人」「サヘラントロプス・チャデンシス」を含めた「猿人」のどれかとされています。

猿人:最古の人類はラミダス猿人?近年、サヘラントロプスも候補に

約700万年~150万年前にいたとされる猿人(えんじん)。二足歩行をして、簡単な打製石器を使用していたと考えられています。猿人の化石はアフリカでしか発見されていないため(2020年現在)人類が誕生したのはアフリカ大陸と推測されます。

・アウストラロピテクス(約400~200万年前に生息)かつての最古の人類

アウストラロピテクス(約400~200万年前に生息)かつての最古の人類

1924年に南アフリカで発見された100万年前の頭骨の化石から、アウストラロピテクス(南の猿)・アフリカヌスと名付けられました。1974年、約320万年前の全身に近いアウストラロピテクスの骨格がエチオピアで発見され「ルーシー」という愛称を名付けられました。 長らくアウストラロピテクスが最古の人類とされてきましたが、現在は1990年代に発見されたラミダス猿人が最古の人類として有力視されています。

・ラミダス猿人(約600~440万年前に生息)最古の人類有力候補

1992年、東京大学の諏訪元教授らを中心とする国際調査チームがエチオピアのアファール低地で、約440万年前の化石人骨を発見。「アルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)」と名付けられました。2009年に全身骨格が復元された女性のラミダス猿人には「アルディ」の愛称がつけられています。

・サヘラントロプス・チャデンシス(約700万年前頃に生息)最古の人類説あり

フランス・ポワチエ大学の研究チームがアフリカのチャドで発見した約700万年前の頭骨の化石は「サヘラントロプス・チャデンシス(チャドに由来する、サヘルの人)」と名付けられました。頭骨の特徴から直立二足歩行をしていたことが予測されます。最古の人類とも考えられますが、ヒト(人類)の祖先かまたは別の種類なのかは議論が分かれています。

原人:北京原人やピテカントロプス。斧や火を使用

猿人のあと、約240万年に原人(げんじん)が誕生。10万年前頃まで生息されたと考えられています。代表的な原人はホモ=ハビリスやホモ=エレクトゥス(北京原人・ジャワ原人など)。ホモ=エレクトゥスは、打製石器を改良したハンドアックス(手斧)や火を使用し、狩猟生活を営んでいたようです。 原人が暮らしていた期間の多くは氷河期でしたが、アフリカからヨーロッパ・東アジア・南アジアまで移動していきました。

※日本では1931年(昭和6年)に発見された化石人骨が明石原人と名付けられましたが、最近の研究では新人であるとされています。

旧人:約60万年ごろから出現。ネアンデルタール人が代表的

約60万~3万5000年前までいたとされるのが、原人のあとに生まれた旧人(きゅうじん)。代表的なのはヨーロッパから西アジアにかけて生息していたネアンデルタール人。脳容積は現代人に匹敵する1,500cc前後あり、死者を埋葬するなど精神文化も発展していたようです。 ネアンデルタール人は主にヨーロッパから西アジアにかけて生活し、剥片石器や毛皮を利用して氷期を生き抜きました。

※剥片石器……原石を打ち砕いてできた薄いかけらを利用した石器のこと

新人:クロマニョン人、現生人類。ネアンデルタール人とは共存

約20万年前に出現したのが、私たち現生人類と同じ新人(しんじん)。ヨーロッパのクロマニョン人や、中国・周口店上洞人(しゅうこうてんじょうどうじん)が代表的な新人です。ネアンデルタール人とクロマニョン人は数万年近く共存していたようですが、交配はなく共存していたとされています。クロマニョン人は1868年フランスのクロマニョンで発見。クロマニョン人は16万年前~1万5千年前の足跡が分かっており、骨や角で「骨角器(こっかくき)」をつくり、有名な「ラスコーの壁画」のように洞穴(どうけつ)絵画を残しています。

ラスコーの壁画 新人:クロマニョン人、現生人類。ネアンデルタール人とは共存

1940年、フランスで発見されたラスコーの壁画は旧石器時代末期の貴重な記録ですが、新人が登場した4~1万年前の旧石器時代には文字の文化がなく、記録が残っていません。それゆえ、新人の誕生以前の人類の歴史は「先史(せんし)」と呼ばれています。

新人がした頃は地球はまだ氷河期の厳しい環境でしたが、およそ1万年前に氷期が終わり、それから牛・ヤギなどの飼育や農耕が始まりました。氷河期の日本列島は氷のぶん水面が下がっており、いまの北海道・樺太や九州・沖縄付近はユーラシア大陸と地つなぎになっていました。日本人の祖先はこの頃、ナウマンゾウやイノシシなどの獲物を追って、大陸からやってきたと考えられています。

podcastでは対話形式で最古の人類について楽しく話しています。こちらもぜひ。

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今回の歴史を学べるフィクション:日本映画『北京原人 who are you?』(1997年)

制作費20億円をかけながら興行成績はあまり芳(かんば)しくなかった本作。北京原人の頭蓋骨から採取したDNAから北京原人が現代に復活。新人よりも身体能力に優れた北京原人が陸上大会に登場したり、人権問題どころか中国と日本の国際問題に発展したりと展開が二転三転していきますが、最終的に北京原人はマンモスとともに自然に帰ることに。 史実に則った検証という観点というより、北京原人など先史時代への興味を持つ、あるいは話題づくりに良い作品かもしれません。

次の時代へ:縄文時代は何年前?約13,000~2,500年前。竪穴住居は平安まで続いた

参考文献

  • 『改訂版 詳説世界史B』大村靖ニ・岸本美緒・小松久男(山川出版社)
  • 『改訂版 詳説日本史B』笹山晴生・佐藤信・五味文彦・高杢利彦(山川出版社)
  • 『もういちど読む 山川日本史』五味文彦・鳥海靖 編(山川出版社)

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