経営・景気の語源は山水画?経済・会社の語源も、風景・人と深く関わっている

2020/10/20 06:46

ライター:平田提

語源 経済 歴史
経営・景気の語源は山水画?経済・会社の語源も、風景・人と深く関わっている

「経営」「景気」「経済」「カンパニー」の語源はもともと人と人との関わりや、風景を表す言葉だった、というお話。経済用語ってどこか距離を置いて見てしまうのですが、語源から考えると、身近な風景や人のためのものだったと分かります。

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「経営」の語源=山水画の構図、「景気」=インスタ映え?

「経営」という言葉の語源は、もともと山水画のカメラのポジション(構図)のことだったという話があります。また「景気」の語源は風景が持つ雰囲気、「インスタ映え」のように「画になる」風景のことだったそうです。

“そもそも風景とは「景気」のすぐれた場所のことをいいます。景気とは、景色のもっているスピリットやエネルギーのこと、今日、経済社会で「ええ景気ですな」とか「えらい不景気でんな」といっているのは、もともとは風景のなかの景気のことだったのです。そればかりではない。実は「経営」という言葉も山水画を描くための用語でした(略)今日マネジメントをあらわす「経営」という言葉は、この山水のコンポジションをマネジメントする経営位置から派生したものでした(松岡正剛『花鳥風月の科学』40~41頁/中公文庫)”

時代や場所が変わるとともに、「経営」「景気」の言葉が示す意味は変わってきました。 経済と風景・人の創作や視点にはとてもつながりがあるんですね。その人がそこに立ち、「景気」を見い出すからこそ風景が生まれるともいえるのかもしれません。

経済の語源=世をおさめ、人をすくう。「company」の語源=パンをともに食べる人

「経済」の語源は中国の葛洪(かっこう)という道教研究家の『抱朴子(ほうぼくし)』にある「経世済民(けいせいさいみん、世をおさめ、民をすくう)から来ているらしい(藤野英人『投資家がお金よりも大切にしていること』99頁/星海社新書)。

「経済」は福沢諭吉が訳したという説もありますが、もともとの「economy(エコノミー)」「economics(エコノミクス)」の語源は「家」を意味する「オイコス」と「秩序・法律」を意味する「ノモス」。共同体の在り方、家の管理、すなわち「家計」ともいえます。家計は経済の基本なんですよね。家庭を運営し、管理するための法則が家計。貨幣は信用の代理ですが、家族の信頼が経済の根本にあるんですね。 あと会社などを意味する「company(カンパニー)」も「パンをともに食べる人」という意味でした。

“英語のcompanion(コンパニオン)、スペイン語のcompañero(コンパニェーロ)、フランス語の copain(コーパン)は「仲間」をさす単語です。どれもルーツはラテン語のcom (コム)とpanis(パニス)で、もともとは「パンをわかち合う人々」という意味でした” (マイク・ヴァイキング『リュッケ: 人生を豊かにする「6つの宝物」』33頁/三笠書房)

経済用語の語源を見ると、経済ってそもそもが人が好む風景をつくるためにあるものなんでしょうね。

梅原真さんの「一次産業×デザイン=風景が変わる」。風景は視点と経済活動が変える

梅原真さんの「一次産業×デザイン=風景が変わる」。風景は経済活動と視点が変える

高知在住のデザイナー・梅原真さんの『ニッポンの風景をつくりなおせ 一次産業×デザイン=風景』(羽鳥書店)で紹介されているのは、タイトルにもあるような「一次産業×デザイン=風景が変わる」話。梅原さんの仕事はデザインにとどまらず、かつおの藁焼きのたたきや、四万十の緑茶などの企画の根本、キャッチコピー、産業の在り方にまで入っていきます。その結果、リデザインされた一次産業が残ることで、風景を残そう、変えようと梅原さんは取り組まれています。

消費をして好きなお店、好きな企業を残していくことは確かに風景を残す投票行為です。ただ風景=「景気」を良くするには、梅原さんのようなレベルでなくとも、何かひとさじの視点=誰かなりのカメラの置き場=「経営」がそこに入ると良さそうです。そういう人々の集まり=「会社」が増えれば、風景がより良く変わる「経済」が生み出せるのではないでしょうか。

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