Neverending school

大人へ、自分の時間&対話の機会を。

大人にこそ教育番組を

大人にも教育番組が必要だと考えました。大人が学び続け、本を読み、対話するような教育番組が。

なぜか? 子供の未来をつくるのは、大人だからです。 今、すごいスピードで社会が変化していますよね。

その中で大人が変わり続けなければ、つまり学び続けなければ、その先の子供たちの未来をつくることはできないんじゃないでしょうか。

私はWeb編集者として企画をつくり、インタビューを続けてきました。 対話を通して、その場で人が変わる瞬間を見ることが大好きです。 毎回、私自身も変わり続けることができます。

自分の子供が生まれてから、私自身も、社会全体がもっと寛容になる必要を感じるようになりました。 私が言うのもおこがましいですが、そのためには大人たちがもっともっと学び続けなければならないとも思い続けていました。

そこで、大人たちが学び続けるための教育番組をつくりたいと思いました。 私がなぜ寛容な社会を望むのか、大人の教育番組という形式を選んだのか、書いてみたいと思います。

寛容な社会をつくりたい

私は、自分の子供が安心して成長できる社会になってほしいと心から思っています。

一方で、自分の古い知識・価値観で子供たちの新しい可能性を狭めてしまわないか、その不安を拭いきれずにいます。 教育環境や挑戦の機会を用意し、親が子に寛容に接することができなければ、子供たちが親になったときに同じことを繰り返してしまうかもしれません。 多くの大人が変わり続けられないと、この負のスパイラルは終わらないのではないでしょうか。

そしてどんなに新しい視点とアイデアを子供たちが実現したいと思っても、それを支援できる大人たちがいなければ、明るい未来は訪れない気がしています。

自殺、差別、暴力、仕事のつらさ、生きづらさ、貧困などの社会問題は、必ずしも個人に全ての責任があるわけではなく、社会にも問題があると思います。社会というと漠然としていますが、つまり個人と個人の関係性のことです。

差別をしたり、特定の価値観で言動をすぐ否定してしまったりする大人が減れば、子供たちは今よりも安心して成長できるのではないでしょうか。

変わる、ということは学ぶということです。 学ぶ、というのは新しいことを受け入れるということです。 新しいことを受け入れるためには、寛容でなければなりません。

寛容な社会は一人の力だけで達成できるものではありません。仏教の「縁起」のように、人と人はいつもつながっています。誰かが誰かに不寛容に接すれば、その人がまた他の誰かに不寛容に接してしまうかもしれない。フランス文学者・渡辺一夫が書いたように、寛容は不寛容に対して不寛容であるべきではない。寛容からスタートしない限り、文化は前に進みません。

寛容こそが文化をつくってきました。異文化交流は違いのある相手への敬意とその受容が基本にあります。新しい国や人の考え、文化を受け入れられたから、私たちは美味しい多国籍料理を食べ、英語がベースのプログラムによる技術の恩恵を享受できています。

不寛容を少しでも減らすことができれば、子供の未来も少し明るくなるかもしれない。 では不寛容の原因とは何なのでしょうか。

寛容のヒントは、自分の時間と対話の機会

私は、不寛容の原因は余裕のなさにあると思っています。これは私自身の経験から考えたことです。

私は躁うつの波を繰り返し、怒りや心無い言動によって多くの人を傷つけてきました。それによって自業自得ながら、自分自身も傷ついてきました。

不可避の問題も多かったのですが、自分に余裕がなかったのも事実です。私は自分のことばかり考えていました。今もまだまだ未熟ですが……。ただ、自分をどうにか寛容にする方法をずっと考え、トライアンドエラーを繰り返してきました。

寛容の方法は大きく2つあると思っています。

1つは「心の容量」を増やすこと。

嫌な対応を誰かにされたとしても、相手の背景を想像するために、一瞬「一時停止ボタン」を自分で押せるかどうか。それは心の容量の残量にかかっています。自分のことしか考えられなかったら、それはできません。 心の容量を増やすためにはどうすればいいか。大学と躁うつの大先輩・坂口恭平さんは『まとまらない人』で「とにかく手を動かせ、歩け」というようなことを書かれてました。人間も動物なんだから、四肢を動かさなきゃと。四肢が動いている間は、余計なことはあまり考えない。自分のことばかり考えない。

心の容量をつくるためには、心を少しでもアウトプットすればいい。書いたり、つくったり、話したり。あるいは、無心になればいい。先人の知恵や自分の経験から、私はそう考えています。 瞑想や座禅を組むこと、お茶や家事に集中するのも一つです。手芸や創作など、趣味に没頭するのもいいでしょう。とにかく自分が無になる時間を持つ。

寛容の方法のもう1つは、対話。子育てや仕事、対人関係の悩みを誰かに話せること。自分の時間を持つことが孤独になることだとしたら、対話の時間はつながることです。私は過去何度か大きな落ち込みを経験しました。そのたびに自分が前に進めたのは、図工やZINEのサークルを立ち上げたこと、一緒にものづくりする仲間との対話によるものでした。しかし社会人になってからより一層、悩みや発見についてじっくり語る機会が減ってきているとも感じます。

自分の時間と、対話の時間が大人の自己肯定感をつくると考えています。それがなければ、子供に寛容に接することができなくなる。子供に自己肯定感が生まれにくくなる。

ただ、多くの大人は仕事や育児などでなかなか自分の時間と対話の時間を持てずにいます。じゃあどうすればいいか。 そこで対話や読書を軸にした大人の教育番組が、手助けの一つになるんじゃないかと考えています。

1対1の対話をみんなで聴く、オンラインのワークショップを開く

一人の時間を持つ、あえて孤独になるために読書は手軽な方法です。読書の瞬間、人は一人になれます。自分以外の考えに集中できます。これは『高校図書館デイズ』という本で一人の高校生が書いていた考え方で、読んで私はハッとさせられました。

アウトプットのためには書くこと、そして手を動かして何かをつくるのもいいでしょう。また、誰かとの対話もアウトプットの方法の一つです。対話はその場でリアクションを得ることができます。

本を中心にした読書会は国内外でも盛んに行われています。日本でも最大級の読書会「猫町倶楽部」や『本の未来を探す旅 ソウル』に紹介されていた、読書会中心の書店BOOKTIQUE BOOKSSHOPなどなど。対話によって、他の人の多様な考えを知ることができます。また、人に話すことで初めて自分の考えを知ることもあるでしょう。その考えがまた自分をつくっていくことにもなり得ます。

フィンランドで生まれた統合失調症の精神療法、オープンダイアローグもヒントになります。患者が何を考えているのか、医師だけでなく家族や他の関係者がその声を聴くことが治療につながる。これは精神病でなくとも、当てはまるように感じています。 以前、編集として関わっていた劇団雌猫さんのイベントに行ったとき、登壇された方がキャリアカウンセラーの方に仕事の悩みを相談されていました。すると私も含めた聴衆のみなさんも共感できるポイントがたくさんあり、ヒントを得ることができました。そのように、誰かの対話が自分の悩みの解消につながることもあるんだと思います。

ただ読書会やワークショップを開きたくても人が集まらなかったり、スケジュールが合わなかったりもします。私もまず友人とこの試みを始めようと思ったのですが、友人の多くは東京にいて関西にいる私となかなか会うことができません。

そこで考えたのが、未読の本をめぐる1対1の対話をpodcast番組として配信し、多くの人に聴いてもらうことです。これならば、大人が新しい経験を一緒にみんなで体験できるんじゃないか。 また遠隔地でもタイミングが違っても、通勤中・退勤中や手を動かしながらでもpodcastが最適なのではと考えました。 本の感想だけでなく、例えばプログラミングの本をもとに何かを一緒につくってもいいかもしれません。手芸やアートなどもできるかもしれない。

初めての経験の前ではすべての人が平等になれます。本の場合、時間も空間も超えてつながることができます。それも誰かに一方的に教わるのではなく、本を囲んで互いの考えを話し、聴く。

卒業できない学校を続けて、寛容な社会を

ところで映画『ネバーエンディング・ストーリー』の原作、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』が私は大好きです。主人公、バスチアン・バルタザール・ブックスは『はてしない物語』を読んでいるうちに、いつの間にか本の中の登場人物になってしまいます。読む人が、いつの間にか読まれる人になっているのです。

この本の最後には、読む人それぞれの『はてしない物語』があると書かれています。この作品の中で、本の世界と現実を侵食する「虚無」に対抗する手段は、名前をつけることでした。言い換えると、その人なりに解釈し、新しい物語をつくることだと思います。本はいつでも読まれるのを待っている。本は読まれて初めて意味をなします。そしてその意味は読む人それぞれの意味でいいんです。バスチアンがいつの間にか物語の登場人物になっていたように、読むことで、私たちは新しい物語を書いているのかもしれません。

社会が変化し続ける限り、学びに終わりはありません。 たとえ学校を卒業しても。むしろ人生は卒業できない学校のようなものではないでしょうか。 そんな背景からNeverending schoolという名前をつけました。

ゲストとして参加してくれたり、一緒に本を読んでくれたり、新しい体験を始めてくれたり、ただpodcastを聴いてくれたりするだけでも嬉しいです。 大人たちが学び続けている姿を見せられるだけでも、子供に伝わるものがあるんじゃないでしょうか。 自分の時間と対話の時間を大人がもっと持つことで、少しでも寛容な社会に向かうきっかけになると信じています。

『はてしない物語』の最後に、孤独だったバスチアンは『はてしない物語』を通じて、友人を得ます。 新しい学びを一緒に始めた瞬間から、私たちは仲間です。 対話を始めましょう。

Neverending schoolは新しい学びの時間をシェアする、大人の教育番組です。

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ゴースト

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Dai Hirata

永遠の居残り生徒。podcastではホストを務めます。最近の趣味は羊毛フェルト。秋田県生まれ、関西在住。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業。在学中に映画サークルで脚本を書けずに挫折、西村佳哲さんの『自分の仕事をつくる』を読んで「とりあえず作る」図工サークルを立ち上げ。ベネッセコーポレーションで少々働き、その後いろいろあったものの、現在は元気に過ごす。ZINEを作ったり、人と何かを作ったりすることが自分の状態を改善する方法だと最近気づきました。持病は腰痛。
本業はフリーのWeb編集・ライター。教育番組的なWebコンテンツがつくりたいなんてときは、こちらからお気軽にご相談ください!